シガテラ毒とは
日本国内の釣り場だと、あまり食中毒にあったという話は聞かれません。
とはいえ注意するに越したことはありませんので、衛生面には最大の注意を払うようにしたいものです。
魚の食中毒の中でも特に気をつけたいものの一つに、「シガテラ毒」というのがあります。
シガテラというのは、主に温かい海域に生息している「渦鞭毛藻(うずべんもうそう)」と呼ばれるプランクトンによって引き起こされる食中毒です。
渦鞭毛藻は海藻に付着しており、この海藻を食べた小魚を大きな魚が食べることによって体内に蓄積されていきます。
「シガテラ(ciguatera)」という名前は、キューバに移住していたスペイン人が「シガ(cigua)」という名前の貝を食べたところ、食中毒になったことから付けられました。
日本では、沖縄や鹿児島でシガテラによる中毒が発生することがあります。
温暖化が進むとシガテラ中毒も北上する可能性がありますので、一応は気をつけておいた方がいいでしょう。
シガテラ毒を持つ魚
シガテラ毒を持っている魚としては、「バラフエダイ」が有名です。
バラフエダイは体長が1メートルほどある大きな魚で、味が非常に美味しく、沖縄ではよく流通している魚です。
「イトヒキフエダイ」も沖縄で流通している魚で、味が美味しいにもかかわらず、シガテラ中毒になるリスクがあります。
同じ鯛の種類で「イッテンフエダイ」と呼ばれる黒い斑点のある魚は、シガテラ毒に当たる可能性が高いため一般には流通していません。
この他にも「キツネフエフキ」や「オオアオノメアラ」など、美味ではあるけれどシガテラ毒のリスクがある魚がいくつかあります。
特筆したいのは、釣りファンにも人気のある「ヒラマサ」です。
アジ科では最大級の魚であるヒラマサは、大型になるとシガテラ毒を貯めている可能性が高いので注意しなければなりません。
安易に食べないことが大切
「バラハタ」や「マダラハタ」「アカマダラハタ」なども、毒素がある危険性もありますのでどうしても食べたい時は小型のものを選ぶことが大切です。
「磯の王者」の意味を持つ「イシガキダイ」は、料亭で出されるほど美味な魚でありながらシガテラ毒の危険性が高いので、できれば食べない方が無難です。
シガテラ毒の毒素は、たとえ加熱しても熱分解されることがありません。
煮魚にすると煮汁にシガテラが溶け出しますので、煮汁もできれば避けたほうがいいでしょう。
特に内臓部分に毒素がたまる傾向があるので、内臓はきれいに取り除いてから調理するなどといった工夫も必要です。
魚を釣ったときに、何の魚かよくわからないときは基本的に食べないようにすることで、シガテラなどの食中毒を避けることができます。